逆転のアーサナ 全てのアーサナの中でも逆転のアーサナが最も大切なのには、幾つかの理由があります。これらのアーサナのポジティブな効果を肉体的、心理的、スピリチュアルにおいて、多々のレベルに感じる事が出来ます。逆転のアーサナは体内の多くの器官をバランスのとれた調和へと導き、肉体においてだけではなく、エネルギー体、感情体、精神体における調和を育み、スピリチュアルの発達を促します。逆さまになる事で身体の健康状態を向上させ、老化の過程を減速し、筋肉や皮膚を引き締め、血液循環と呼吸を改善し、消化力を改善し、骨の密度を増加し、免疫力を強化して、ストレスや不安を癒し、自分自身への自信を高め、チャクラを刺激して、平静と幸福を感じ、ポジティブ思考になり、スピリチュアルを拠点とする様になるのです。逆立ちのアーサナの練習が、悟りにも繋がるのです。 どうしてその様な事が言えるのでしょうか? 何故ならば、逆転をする事によって身体が逆さまになると、重力の働きが内臓を引き締める強力なマッサージとなるからです。こういった刺激を促す動きによって、停滞していた器官の働きは活性化され、内臓は解毒されます。この様に内臓器官から活性化されると、筋肉や皮膚にも高い効果が表れます。身体を逆さまにする事で大地との相対位置も逆転し、この位置を保つ事で骨は強化され、骨密度の増加を促します。 逆転のアーサナは心臓の働きを活発にして、静脈の流れを促進します。多くの専門家達は、逆転のアーサナは有酸素運動と同じ様に健康な心臓を保ち、循環も向上させると述べています。 通常では動脈によって、新鮮な酸素が含まれた血液が全身を循環した後に、静脈は筋肉の働きに頼り、重力に対抗しながら血液を心臓に戻します。身体を逆転させると、この静脈の流れが難なく起こります。そして、足の静脈瘤を防ぐ事が出来ます。 身体が逆さまになると、心臓を休ませる事が出来ます。通常心臓は一日中、朝も夜も重力に対抗して、酸素を含む血液を脳や身体全体に循環させますが、身体が逆さまの状態では、血液循環は心臓に頼る事無く出来るのです。 逆さまになる事でリンパ系を全て刺激し、免疫力を強化する事になります。逆さまになる事で内分泌腺、特に下垂体および松果体を刺激し、それによって細胞の代謝を調整するホルモン分泌を促し、心身に健康、調和、明瞭さや活力、楽感をもたらします。 私達の身体をひっくり返す事で、私達の世界は逆さまになります。逆さまになる経験によって違った視野が与えられて、物事の見解は広くなります。いつもは当たり前に考えていた事が覆されます。この様に見方が変わる事によって、今までは認識する事のなかった精神を呼び起こす事になるのです。 この新しい角度からの物の見方を完全に経験するためには、心身共にリラックスさせ、信念を持って神に身を委ねる必要があります。 逆立ちを通して私達は、復帰する様な、生まれ変わる様な経験をする事が出来ます。特に、シールシャサナでは地上面がアーサナの席になるので、地球、私達の源、大地の母の子宮に戻る様な体験に導かれるのです。 その結果として、想像力を再び復活させます。身体的に、心臓(ハート)を頭(脳)より高くする事によって、合理的な知的判断に頼るのではなく、心(ハート)を優先する事になるのです。 主要な逆転のアーサナはシールシャサナ(頭立ち)、サランバーサーヴァンガサナ(肩立ち)、ハラサナ、アドムカヴリックシャサナ(ハンドスタンディング)、ピンチャマユーラサナ、ヴィパリータカラーニです。毎日練習するべきアーサナでしょう。ジヴァムクティの14ポイントを含んだ1-2時間のヨガのオープンクラスを受ける時間がない日は、せめてインヴァージョン(逆転のアーサナ)を練習しましょう。特に頭立ちと肩立ちが大切です。最低でも、各5分間ずつ行いましょう。その時間すらないなら、ハンドスタンドを壁を使ってでも25呼吸保ちましょう。大切なのは、一日に1度は逆さまになるという事なのです。(例外は生理中の女性です。生理中は大地へ下降するアパナを逆立ちによって邪魔しない事が大切です。) シールシャサナがアーサナの王様と呼ばれるのは、最も大切なアーサナだからなのです。それぞれのアーサナはチャクラに影響を及ぼし、頭立ちはサハスララである頭頂部のチャクラを刺激します。頭頂部にあるチャクラのカルマ的な関係は、私達自身と神との関係です。意識とは化学で、頭立ちは脳内の下垂体と松果体を刺激、意識を拡大させる原因となるホルモン物質を放出するために、世俗的な心配事を手離して宇宙意識へと導く機会が与えられるのです。逆転は神へのドアを開くのです。 シャロン ギャノン 翻訳;クマリ、パドミニ